Research 研究紹介

横浜にある18の区がどうやって形づくられ、そこではどんなひとたちがどのように暮らしているのか。私たちはそれを知ることで、横浜のコミュニケーションをほんの少しでも風通し良くするお手伝いをしたいと考えます。
「横浜、18の素顔―横浜市18区をデータで探ってみる―」は、国勢調査等の各種オープンデータに基いた横浜市のデータベースです。ダウンロードデータでは、横浜市18区の基本情報も各区ごとにまとめてあります。

横浜、18の素顔
―横浜市18区をデータで探ってみる―

横浜市は、東京都心から南南西に約30~40㎞に位置する総面積約435平方メートルの、日本を代表する港湾都市であり、首都圏の中核都市です。

現在の総人口は約376万人(令和2年9月1日)と日本の市町村の中では最大となっています。横浜中華街や湾岸エリアの商業・レジャー施設など、観光地としても人気の高いエリアですが、ここ数年では各種の「住みたい街ランキング」の上位常連として、居住地としても高い人気を得ています。しかし、横浜に住みたい人たちは、なぜ、横浜のどこで、どのように暮らしたいのでしょうか?

一言で「横浜」と言うものの、横浜って、いったいどこのこと?横浜のイメージとは?横浜で暮らすってどんな暮らしのこと?

現在、横浜市は18の行政区に分かれています。成り立ちの新旧、住んでいる人々の年齢や世帯のかたち、位置や地形など、それぞれの特徴や居住者の生活スタイルなどを統計データから読み解くことで、18区それぞれの「横浜」を探ります。

18の「横浜」像から、あらためて“横浜らしさ”を考察してまいります。

18区の成り立ち

18区の成り立ち

人口

18区別人口総数と世帯数

横浜市の人口(2015年国勢調査)を行政区別にみると、最も多いのは港北区の343千人で、以下青葉区(308千人)鶴見区(291千人)となっており、逆に人口が最も少ない区は西区で99千人となっています。

世帯数もほぼ人口と同様の傾向ですが、世帯数の最も少ない区は栄区(55千世帯)となっています。面積比を見ると、面積が2番目に小さい南区で人口密度が最大(15.52千人)となっており、逆に、金沢区(6.52千人)泉区(6.54千人)栄区(6.56千人)の3区が人口密度が低くなっています。

18区別人口総数と世帯数

人口の伸び率

過去20年間(1999年~2019年)の人口の伸び率を18区別にみると、港北ニュータウンの開発が進んでいた都筑区が大きな伸びを示しており、他にも西区(28.39%)中区(21.21%)の市中心部、港北区(18.8%)青葉区(18.09%)緑区(17.79%)といった北部の区で大きく伸びています。しかし、港南区、金沢区、旭区、磯子区の南西側の区では減少傾向となっています。2009年からの10年間では、最大の都筑区でも8.05%と、伸び率自体が鈍化、減少区も8区(瀬谷区、泉区、南区、保土ヶ谷区が加わる)と増えています。

2014年からの5年間では、伸び率はさらに鈍化し、トップ5区の神奈川区(2.75%)港北区(2.72%)鶴見区(2.53%)西区(2.52%)磯子区(2.22%)でも3%を下回り、開発が一段落した都筑区も0.71%と微増に留まっています。

しかしながら、西区や、市東側の港北区、鶴見区は今後も人口の伸びが予測されるなど、これらの区を中心に活力を維持していくと推測されます。

人口の伸び率

年代

18区別年代別構成比と平均年齢

18区別年代別構成比と平均年齢

18区のそれぞれの住居のかたちでは、戸塚区(68.4%)泉区(68.1%)金沢区(67.9%)港南区(67.8%)栄区(67.0%)などで持ち家率が高くなっており、逆に中区(50.4%)神奈川区(51.7%)港北区(52.2%)西区(53.0%)南区(58.2%)の単独世帯率の高い区で持ち家率は低くなっています。持ち家率の高い区は市西側に多く、低い区は東側に多く見られます。

住居の建て方では、泉区(57.0%)瀬谷区(53.3%)旭区(49.9%)栄区(47.9%)港南区(42.6%)などで一戸建ての比率が高めとなっています。これらの区は昭和40年代頃に盛んな宅地開発が行われた区が多く、その影響と思われます。

反対に、共同住宅世帯の比率が高い区は、西区(75.6%)中区(74.5%)港北区(69.7%)神奈川区(69.2%)鶴見区(66.5%)と市中心部の繁華街性の高い区が多くなっています。特に西区、中区では11階以上の高層共同住宅の比率が一際高く、大規模マンションの多さを伺わせます。

老齢人口比&年少人口比ランキング

世帯

18区の世帯のかたち

18区の世帯のかたち

世帯のかたちを見ると、単身(単独)世帯が比較的高い比率を示しています。最も高い西区では51.0%と半数を超えており、続く神奈川区(47.7%)中区(47.1%)もそれに近い率であり、その他にも40%以上の単独世帯率を示す区は南区(44.8%)港北区(42.8%)鶴見区(41.8%)となっています。夫婦と子供からなる世帯の比率が高い区は、都筑区(43.5%)青葉区(37.7%)泉区(35.9%)戸塚区(34.9%)緑区(34.3%)などです。これらの区では1世帯当たりの人員も多くなっていますが、1世帯当たり人員が最大の都筑区と二番目の泉区を見ると、3世代世帯率に大きな違いがあり、都筑区および同傾向の青葉区では子供の数が多いことが推察されます。

また単身世帯比を60歳以上で見ると、ランキングのトップと最下位が入れ替わるほど全く違う結果となり、老齢人口比率の高い区では高齢者の単独世帯が多いことも見て取れます。

単身世帯比ランキング
1世帯当たり人員と3世代世帯率
1世帯当たり人員と3世代世帯率

住居

18区の住居のかたち

持ち家率と借家率、一戸建て率
持ち家率と借家率、一戸建て率

18区のそれぞれの住居のかたちでは、戸塚区(68.4%)泉区(68.1%)金沢区(67.9%)港南区(67.8%)栄区(67.0%)などで持ち家率が高くなっており、逆に中区(50.4%)神奈川区(51.7%)港北区(52.2%)西区(53.0%)南区(58.2%)の単独世帯率の高い区で持ち家率は低くなっています。持ち家率の高い区は市西側に多く、低い区は東側に多く見られます。

住居の建て方では、泉区(57.0%)瀬谷区(53.3%)旭区(49.9%)栄区(47.9%)港南区(42.6%)などで一戸建ての比率が高めとなっています。これらの区は昭和40年代頃に盛んな宅地開発が行われた区が多く、その影響と思われます。

反対に、共同住宅世帯の比率が高い区は、西区(75.6%)中区(74.5%)港北区(69.7%)神奈川区(69.2%)鶴見区(66.5%)と市中心部の繁華街性の高い区が多くなっています。特に西区、中区では11階以上の高層共同住宅の比率が一際高く、大規模マンションの多さを伺わせます。

単身世帯比ランキング
共同住宅世帯比率の内訳
共同住宅世帯比率の内訳

商業力

18区の商業力

小売り事業所数と売り場面積、年間商品販売額
小売り事業所数と売り場面積、年間商品販売額

18区の商業の状況では、横浜駅周辺、みなとみらいエリア等の商業集積地を有する西区が抜きんでた存在となっています。年間の商品販売額では、西区は横浜市全体の16.4%を占め、商業力指数も6.25と桁違いの商業力を示しています。西区以外で年間商品販売額の大きな区は中区、港北区、都筑区、戸塚区などで、いずれも大型商業施設を中心とした集積が見られるエリアを内包しています。神奈川区や保土ヶ谷区は、売り場面積に比して販売額が大きく、小さな店舗が集まる商店街等が盛んな様子が見て取れます。事業所数の多さに比例して、昼夜間人口比率も高くなっていますが、100%を超えるのは、西区(186.0%)中区(161.2%)神奈川区(100.1%)の3区のみで、中でも西区・中区がとび抜けた数値を示し、この2区が横浜の経済・業務の中心であることがわかります。反対に、商業力はまずまずながら、昼夜間人口比が最小の青葉区は、商業力以上に通勤通学による流出が大きいことが伺えます。

事業所数ランキング
商業力指数 ツリーマップ
商業力指数 ツリーマップ
昼夜間人口比ランキング

18区 類似性と相関(1)

居住者の年代と世帯状況

居住者の年代と世帯状況

居住者の特徴を、1世帯当たり人員数と老年人口比率から見てみると、18区は3区分に大別されます。

区数が最も多いのは、「シニアファミリー」で市南西部の区を中心に9区を数えます。比較的低い年代の家族が多い「若年ファミリー」には市北側の3区、年代が若い単身者や夫婦世帯が多い「若年シングル・カップル」は、市東側の6区となっています。

「老齢シングル・カップル」象限に当てはまる区は見当たりませんが、老齢人口率が高い区にはそれなりの数が内包されているものと思われます。

居住性と繁華・ビジネス街性

居住性と繁華・ビジネス街性

18区のエリア特性を、居住エリアか繁華・ビジネス街かの視点で見てみます。居住性を持ち家率で、繁華・ビジネス街性を昼夜間人口比率で測ると上記のように、ほとんどの区が居住エリアとなります。

これは、そもそもベッドタウンとして開発が進んだ経緯があることと、商業は西区、行政・産業は中区に集中、この2区だけ抜きんでた存在となっていることが要因と思われます。複合的に新しく再開発が進んだ市東側の4区は、居住性と適度な商業・ビジネス集積が見られる複合エリアとして位置づけました。

18区 類似性と相関(2)

高齢化と将来性

高齢化と将来性

18区を高齢化と将来性で類別すると、高齢化が進行し人口も減少傾向にある「成熟停滞」エリアとして市南西側の6区、高齢化傾向が見え始めているも人口は伸びている「円熟安定」エリアに市中心部および南側の4区、唯一南区は、比較的若年層が多く住みながら、人口が伸び悩む「足踏み」エリアの位置づけとなります。

今後の拡大が予想される「成長拡大」エリアは市北東部の7区となりますが、横浜市の人口将来推計では、将来にわたり人口増加が見込まれる区としては、鶴見区・西区・港北区の3区のみとなっています。

年代と定住性

年代と定住性

横浜18の素顔 まとめ

横浜の“東・西・南・北”

横浜は、その歴史が示すように、国際港横浜の後背地としての発展と、首都東京のベッドタウンとしての開発の両面で拡大してきました。

そのせいか、港に近い臨海部とそこに隣接する“南”側の区と、主要鉄道路線が  横浜駅を経由しない“北”側の区では、何かにつけてその違いが取り沙汰されています。統計データからも、「老齢人口比率が高い区は比較的南側に多く、年少人口比が高い区は北側に多い」「北側は世帯所得が高く、南側は低い」「南側は1戸建てが多く、北側は共同住宅が多い」等々の違いが見て取れます。


一方、東西に目を向けると、こちらもその違いは明白となっています。東側の区の多くは、賃貸住宅に住まう若い単身、またはカップル世帯が多く、世帯所得も高めで、ホワイトカラー層が多い傾向が見られます。西側の区では、一戸建ての持ち家に住む高齢のファミリー世帯が多く、高齢化が進行し、人口も減少傾向となっています。また東側には商業・経済が活発な区が多く、他区・他市からの流入が多く見られますが、西側は典型的な居住地としての様相を示しています。


右記の地図でもわかるように、人口の高齢化は南西側が高く、北東側が低くなっています。これは、人口の増減状況とも重なります。


横浜港の後背地、東京のベッドタウンとして、昭和40年代頃より急速に開発が進んだ区の多くで、開発初期に憧れのマイホームを購入し、移り住んだ区民の老齢化が進み、若年層が流出していることが推察されます。また、開発後発組の北東側の区では、若い子育てファミリーとその予備軍、DINKS、DEWKSと言われる世帯が、新たな東京のベッドタウンを構成、今後の発展を支えていくと思われます。

横浜市 18区の老齢人口比による色別
横浜市 18区の老齢人口比による色別

18区を分類(1)

18区を分類(1)

18区を分類(2)

18区を分類(2)

【参考】人口・世帯 将来推計

横浜市ホームページ「横浜市将来人口推計」より抜粋引用

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/shien/jinkosuikei.html

推計結果の概要

横浜市の人口のピークは2019年

ピーク時人口はおよそ373万人

65歳以上の人が占める割合(高齢化率)は人口ピーク時(2019年)で24.8%、2065年では35.6%

推計結果の概要

港北区、西区、鶴見区は、今後も人口の増加が続き、人口のピークは、それぞれ2036年(2037年も同数)、2041年、2042年

南区、港南区、旭区、金沢区、栄区、泉区、瀬谷区では、今回の推計期間中(2015年~2065年)、人口の減少が続く

神奈川区、中区、保土ケ谷区、磯子区、緑区、青葉区、都筑区、戸塚区は2015年以降、数年から十数年程度の間増加し、その後人口の 減少が始まる

65歳以上の人口が占める割合が高い区は、2015年時点で栄区(29.3%)、旭区(28.2%)、泉区(27.0%)。2065年では港南区(38.8%)、金沢区(38.7%)、旭区(38.1%)。0~14歳の人口が占める割合が高い区は、2015年時点で都筑区(17.0%)、青葉区(13.9%)。2065年では鶴見区(12.0%)、都筑区(11.9%)、瀬谷区(11.4%)

推計結果の概要

市内の世帯数は今後増加し、2030年に169万8千世帯でピーク(前回2012(平成24)年推計とピークの時期は変わらず)

「単独世帯」は2035年、「夫婦のみの世帯」は2045年まで増加が続き、「夫婦と子供からなる世帯」は減少が続く

家族類型別世帯数は、「単独世帯」、「夫婦と子供からなる世帯」、「夫婦のみの世帯」の順で多いが、2050年には「夫婦のみの世帯」が「夫婦と子供からなる世帯」を上回る

65歳以上の「単独世帯」の割合は年々増加し、2065年には世帯の総数の19.3%に

主な統計指標の18区ランキング

主な統計指標の18区ランキング

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  • 人口等のデータは2015年国勢調査を基にしています。

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